8日のパラジウム現物価格が、2018年4月以来5年10カ月ぶりにプラチナ価格を下回った。
需要減退懸念が高まる一方、供給は減らないとの見方を背景に、値下がりが続いている様子がうかがえる。
1303GMT現在のパラジウム現物は前日より2.8%低いオンス当たり869.6ドルと5年ぶりの安値を記録。
プラチナはオンス当たり874.5ドルだった。
パラジウムは18─22年まで上昇基調だったものの、23年は39%下落した。
需要の8割を占める自動車セクターが、厳しい排ガス規制を受けて触媒装置をパラジウムからプラチナに切り替え始めたことが原因だ。
触媒装置が不要な電気自動車(EV)の普及も、パラジウムの先安観に拍車をかけている。
一方プラチナは宝飾品や他の業種からの引き合いがあるので、自動車セクターへの依存度はパラジウムに比べて低い。
シティは最近の調査資料で「パラジウムは流動性が乏しいため、何か大きな供給(不安)に関するニュースが出ればすぐに高騰する可能性はある。しかしそうした値上がりは、生産者にとってはヘッジの拡大、投機筋にとっては新たな売り持ちの機会になると考えている。
なぜなら(パラジウムの)長期的な見通しはなお非常に悪いからだ」と述べた。
パラジウムの大半は、他の金属と抱き合わせで採掘される仕組みなので、価格が生産コストを下回った場合でさえ、おいそれとは減産できないことが、供給量が大きく変わらないとの予想につながっている。