国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は443万円となりました。
また、厚生労働省の「令和元年(2019年) 国民生活基礎調査」では、1世帯当たり平均所得金額は564万円、中央値は440万円です。
暮らしに必要な生活費は、個人差や世帯差があります。ただ、上記の統計をみる限り「年収400万円台世帯」は一般的な年収といえそうです。
年収400万円台「ふつうの家庭」の貯蓄はいくらか
「年収400万円台」の貯蓄事情をみていきましょう。総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」のデータを元にチェックします。
■ 年収400万~450万円(平均年収…426万円)勤労世帯 平均貯蓄額:912万円
〈貯蓄の内訳〉
・金融機関…897万円 ・通貨性預貯金:317万円 ・定期性預貯金:303万円 ・生命保険など:225万円 ・有価証券:52万円 ・金融機関外…15万円
■年収450万~500万円(平均年収…474万円)勤労世帯 平均貯蓄額:784万円
〈貯蓄の内訳〉
・金融機関…765万円 ・通貨性預貯金:277万円 ・定期性預貯金:237万円 ・生命保険など:157万円 ・有価証券:94万円 ・金融機関外…19万円
年収400万円台世帯の貯蓄の実態は上記の通りです。
貯蓄の中身を見ると、半分以上が預貯金で占められていることがわかります。
なお、年収400~450万世帯が、450~500万世帯よりも貯蓄が多くなっているのが気になるところです。
年収400万円台世帯の「負債」は住宅ローンがほとんど
次に、負債、同調査から、年収400万円世帯の負債額も見ていきましょう。
■ 年収400万~450万円世帯の負債 ・平均負債額・・・521万円
・うち「住宅・土地のための負債」・・・486万円
■年収450万~500万円世帯の負債 ・平均負債額・・・693万円
・うち「住宅・土地のための負債」・・・652万円 年収400万円台の負債は平均500~700万円程度となりした。
負債のうち、ほとんどが「住宅・土地のための負債」すなわち住宅ローンなどです。
年収400万円台世帯「純貯蓄額」は意外な結果に
ここからは純貯蓄額を見ていきます。 先述の「貯蓄額」から「負債額」を差し引いた金額はいくらでしょうか。
■年収400万~450万円世帯の純貯蓄額 ・912万円(貯蓄)-521万円(負債)=391万円
■年収450万~500万円世帯の純貯蓄額 ・784万円(貯蓄)-693万円(負債)=91万円
貯蓄額から負債額を差し引いた純貯蓄額は、「年収400万~450万円世帯」で391万円、「年収450万円~500万円世帯」で91万円です。
その差はちょうど300万円となりました。 貯蓄額、純貯蓄額ともに、年収400~450万世帯のほうが高い結果となりました。 年収が高いほど貯蓄も大きくなるわけではないようです。
年収400万円台世帯の共働き率は
■「年収400万円台」の世帯の家庭の状況も見ていきましょう。 年収400万~450万円世帯の家族の状況
・世帯主の平均年齢・・・50.7歳 ・世帯人数の平均・・・3.10人 ・・うち18歳未満の世帯人員・・・0.81人 ・世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・39.1%
■年収450万~500万円世帯の家族の状況 ・世帯主の平均年齢・・・49.8歳 ・世帯人数の平均・・・3.18人 ・・うち18歳未満の世帯人員・・・0.85人 ・世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・48.2%
世帯主の平均年齢は50歳前後となりました。 また、女性の有業率、すなわち共働き率は400万円台後半の世帯で5割弱です。
年収400万円の貯蓄から考えるお金の増やし方
今回は、年収400万円の世帯の貯蓄や負債を解説してきました。住宅ローンや教育費などの大きな出費を管理しながら、貯蓄をコツコツしている世帯もあると推測できます。
また先述の通り、年収400万円台世帯の貯蓄の半分以上が、預貯金を占めています。 しかし、低金利が続く現在、預貯金だけではお金を大きく育てることは難しいでしょう。
そこで視野に入れたいのが、資産運用です。 ただ、資産運用と聞くと、「リスクがありそう」とためらう人もいるかもしれません。
そんなときは、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなど、少額から投資がしやすい制度を検討するとよいでしょう。
人生100年時代、豊かな老後生活のためにも、まずはこうした制度について情報を収集することから始めましょう。