住宅の建築費用が当初の金額より200万円以上高くなると言われた」
「リフォーム工事を検討しているが、カタログより高い見積もり金額を提示された」
いま、全国の消費生活センターに、こうした相談が多数寄せられているとの事。
2021年に「ウッドショック」が発生して以来、戸建住宅の建築費が高騰を続け、
中には「契約時より大幅に値上がり」し、その超過分を請求されるといったケースも相次いでいるのです。
「ウッドショック」とは、コロナ禍をきっかけに発生した、世界的な木材価格の高騰のことです。
更に、「コロナ」「オイル」「アイアン」を加えた、「4大ショック」が、日本の住宅需要を直撃しています。
現時点で、注文の戸建住宅は、ウッドショック前と比べ、2~3割ほど価格が上昇しています。
全国の工務店団体の調べによると、「床面積40坪の在来型木造住宅」、つまり、
おおむね「家族4人、3~4LDKの一般的な木造一戸建て」の建設コストは、
「ウッドショック」前の2020年の時点で、約2042万円でした。
ですが、「ウッドショック」後の2021年には、約2383万円と、約340万も値上がりしています。
実に、1年間で約16.7%もの上昇です。
2022年に入り、さらに価格上昇のペースが上がっている印象ですね。
こうした住宅の「建築費インフレ」が問題になるのは、何もこれから購入する方だけではありません。
むしろ、すでに住宅を購入し、契約書を交わして、引き渡しを待つ人のほうが、
より深刻な問題に直面する可能性があります。
冒頭でご紹介したように、契約時の金額より、高い費用を請求されるケースも多発しています。
本来は、契約書に「特約」がなければ、建築費高騰分を施主が支払う必要はありません。
ただ、住宅会社側が、契約書の「特約」に、
「経済事情の激変等で価格が上がったときには、理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる」などの一文を入れていることがあります。
これは、国交省の中央建設業審議会「民間建設工事標準請負契約約款」にも記載されているもので、
一般的な「特約」です。
そのため、契約書を交わしたあとで、建築費高騰分を、住宅購入者が負担するケースが出てくるのです。
いずれにしても、住宅建設やリフォームは不透明な状況が続きそうです。
不測の事態に備えて、費用や期間について余裕をもって計画してください。