家を購入する際に資金面で気をつけるべき5つのこと
住宅ローンを借りる際に気をつけなくてはならないのが、「借りられる額」と「返せる額」を混同しないことです。
フラット35「年収から借入可能額を計算」ページの計算方法で、自分の年収から借入可能額(借りられる額)を計算してみましょう。
「自分は5000万円近くも借りられるのか!」
と思って物件を選んでしまうのは、とても危険です。
次に、フラット35「毎月の返済額から借入可能金額を計算」ページで、月々返せると思われる額を入力してみましょう。
その差は、なんと2000万円以上あります。
借入可能額はあくまで金融機関が最大限貸すことができる金額に過ぎず、実際に返せる額を表すものではないのです。
住宅ローンは「借金」なので、借りた額に利息が加わって総返済額はそれ以上となります。
さらに、住宅所得にはさまざまな費用もかかります。
借入可能額をそのまま「買える物件の価格」と考えてはいけないということです。
家を購入するには、物件の価格以外にもかかる費用があります。
・印紙税(売買契約時)
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
・住宅ローン借入費用(融資手数料、ローン保証料、団体信用生命保険料など)
・仲介手数料(仲介会社利用時のみ)
・不動産取得税
・固定資産税資産金(中古物件のみ)
・修繕積立金(新築マンションのみ)
これらの諸費用をどのくらい準備しておけばいいかは、購入する物件によって変わってきますが、
- ・新築マンション
- 物件価格の3~5%
- ・分譲戸建住宅
- 物件価格の6~8%
- ・注文住宅
- 土地・建物の総額の10~12%
が目安と考えておきましょう。
これらの諸費用は、頭金とは別に準備しておきます。かつてはローンとは別に現金で用意する必要がありましたが、現在は住宅ローンに組み込んだり、「諸費用ローン」を活用したりすることもできます。ただし、諸費用ローンは住宅ローンよりも金利が高い傾向にありますので注意してください。
さらに、住宅を取得する際には消費税もかかるのですが、課税されるのは新築マンションや一戸建ての「建物の価格」に対してだけです。
実は、土地代は非課税です。
また、新築や増改築を行う場合の「建築工事費」や「設計料」などに対しても消費税がかかります。
その他、新居への引っ越し費用などもかかるので、その分も資金計画に入れておく必要があります。
住宅ローンの基礎知識を学ぼう
住宅ローンを選ぶときに、最初に悩むのが「固定金利」か「変動金利」かという問題でしょう。
将来的な経済の行方を見極めて選ばなくてはならないという点に、高いハードルを感じてしまいます。
実は、固定金利型には「全期間固定金利型」「固定金利選択型」の2つがあります。つまり、全部で3つのタイプがあるということです。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
全期間固定金利型
ローン契約をする時点で、完済するまでの金利が固定されるタイプ。
フラット35などが代表的です。
全期間の金利が一律のタイプや、最初は金利を低く設定して途中からアップさせる段階金利型などがあります。段階金利型でも、どのタイミングで金利がアップされるかはあらかじめ決まっています。
- ・メリット
- 毎月の返済額が一定で家計を管理しやすい
将来的に金利が上昇しても総返済額が変わらない
- ・デメリット
- 変動金利タイプより、一般的に金利が高め
固定金利選択型
借り入れから一定期間の金利が固定されるタイプ。期間は2年、3年、5年、10年、15年などさまざまで、一般的に固定金利期間が短いほど当初の金利が低く設定されています。
- ・メリット
- 一定期間が過ぎると、あらためて変動、固定を選ぶことができる
- ・デメリット
- 金利が上昇していれば、返済額が多くなる
変動金利型
返済する際の利息が、その時の金利によって変わってくるタイプ。ちなみに、金利は1年に2回見直されるのが一般的です。
- ・メリット
- 固定金利型に比べて一般的に金利が低め
- ・デメリット
- 金利が上昇すると総返済額が増える
返済額が変わるので、家計管理がしにくい
個人的な事情や経済の動きなどいろいろな条件がからんでくるので、どのタイプがお得か一概にはいえませんが、一般的には、
全期間固定金利型が向いているのは、
・総返済額が固定していたほうが安心できる人
・ローンの借り換えを検討していない人
・金利の動きなどをチェックするのが苦手な人
・将来的に金利が上昇すると思われる場合
固定金利選択型が向いているのは、
・子供の教育費などで、ある期間に家計の負担を抑えたい人
・将来的に金利が横ばいか下がると思われる場合
変動金利型が向いているのは、
・借入額が少ない人
・繰上返済を検討していて早めに完済する予定の人
・将来的に金利が横ばいか下がると思われる場合
といえるでしょう。
注目の固定金利住宅ローン「フラット35」とは?
住宅ローンについては、それぞれの家庭の事情によって選ぶべし、と説明しました。
住宅ローンには金融機関ごとに多くの種類を用意していますが、その中でも人気なのが「フラット35」です。
「フラット35」は全期間固定金利の住宅ローンで、返済期間は最長で35年、その間金利が一定になります。
国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人である住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供していて、金融機関で受け付けています。
本来、長期間の固定金利ローンはリスクが大きいので民間の金融機関は取り扱いたがらないのですが、住宅金融支援機構がサポートしていることで実現しています。
また「フラット35S」というローンもあり、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性、耐久性・可変性に優れているという一定の条件をクリアした住宅を購入する際に適用され、「フラット35」より低い金利で借りることができます。
「フラット35」を利用するための主な条件は以下のとおりです。
・申込時に70歳未満であること
・年収400万円未満の人は返済負担率が30%以下
年収400万円以上の人は返済負担率が35%以下
※返済負担率とは年収に占める年間返済額の割合
・投資用物件の取得費用でないこと
融資限度額は100万円以上8,000万円以下で、購入費の10割まで借りることができます。
民間の厳しい住宅ローン審査に対し、フラット35なら
・自営業の人
・個人事業主やフリーランスの人
・勤続年数が短い人
・中小企業のサラリーマン
・正規雇用でない人
・過去にクレジットカード支払いの遅延履歴のある人
でも、購入する物件に担保価値があれば審査が通りやすくなっています。
また、以下のような条件も人気の理由となっています。
・保証料や連帯保証人が不要
・繰上返済手数料が無料
・団体信用生命保険への加入は任意
繰り上げ返済を予定している人にとっては、手数料が無料というのはうれしいですし、すでに生命保険に加入している人にとっては団体信用生命保険に新たに入る必要はなく、加入が任意というのもありがたい条件です。
民間の住宅ローンとは違ったメリットもあるので、条件などを検討してみるといいでしょう。
「資金計画」こそが、理想の家を手に入れる
「頭金はいくら貯めたらいいか?」
「ローンの審査に通るかどうか…」
「親から援助してもらえるのだろうか?」
などなど、家を購入するにあたって、資金の問題が最も大きくのしかかってきます。
ただ、逆にいえば、資金計画さえできてしまえば購入に大きく近づけるということです。
具体的には、自分の理想と資金の現実性の折り合いをつけていくことになりますが、これは「あきらめる」ということではありません。
誰でも最初は、理想が高いものです。
しかし、いろいろと調べていくうちに現実が見えてきて、必ずしも理想通りに行かないことがわかってきます。
そこからが「勝負」です。
自分が譲れないところと、そうでないところを明確にすることで、納得のいく結果を手にすることができるでしょう。
家は、長い人生を送るためのベースとなるものですから、資金計画も長い目で見て考えるようにしましょう。