60歳定年の場合、年金の支給開始年齢が引き上げられたことで、無収入期間が生まれる人も。
そこで検討したいのが老齢厚生年金の繰上げ受給です。
※60歳以降であれば支給開始年齢に達していなくても、老齢厚生年金を受け取ることができます。
ただし無条件、というわけにはいかず、受給開始を1ヵ月早めるごとに、0.4%(2022年4月から。1962年4月2日以降生まれが対象で、それ以前は0.5%)受給額が減額されます。
減額された受給額が一生続くことになるので、しっかりと検討することが必須です。
たとえば平均受給額を加味して、年金月17万円の場合、考えてみましょう。
昭和37年4月2日以降生まれで、老齢基礎年金・老齢厚生年金、どちらも繰り上げ受給することとします。
■60歳0ヵ月で年金受給開始 17万円×0.76=年金月12.92万円が一生続く
■61歳0か月で年金受給開始 17万円×0.808=年金月13.736万円が一生続く
■62歳0か月で年金受給開始 17万円×0.856=年金月14.552万円が一生続く
■63歳0か月で年金受給開始 17万円×0.904=年金月15.368万円が一生続く
■64歳0か月で年金受給開始 17万円×0.952=年金月16.184万円が一生続く
※一方で、年金の支給開始年齢を遅らせる(繰り下げる)こともできます。繰り下げできる年齢の上限は、 75歳まで引き上げられました。
また老齢基礎年金、老齢厚生年金それぞれで繰下げ請求を行う時期を選択できます。
同じように年金月17万円、老齢基礎年金・老齢厚生年金、どちらも繰り下げ受給する場合を考えていきましょう。
■66歳0ヵ月で年金受給開始 17万円×1.084=年金月18.428万円が一生続く
■67歳0か月で年金受給開始 17万円×1.168=年金月19.856万円が一生続く
■68歳0か月で年金受給開始 17万円×1.252=年金月21.284万円が一生続く
■69歳0か月で年金受給開始 17万円×1.336=年金月22.712万円が一生続く
■70歳0か月で年金受給開始 17万円×1.42=年金月24.14万円が一生続く
■71歳0か月で年金受給開始 17万円×1.504=年金月25.568万円が一生続く
■72歳0か月で年金受給開始 17万円×1.588=年金月26.996万円が一生続く
■73歳0か月で年金受給開始 17万円×1.672=年金月28.424万円が一生続く
■74歳0か月で年金受給開始 17万円×1.756=年金月29.852万円が一生続く
■75歳0か月で年金受給開始 17万円×1.84=年金月31.28万円が一生続く
具体的な数字が出ると切実な問題です とほほ。
※更に・・・更に・・・
――あれ、思っていたよりも年金が少ない という声も多く聞かれます。
その多くが、年金収入は雑所得であり、課税対象であることを知らないことで起きています。
「えっ、年金にも税金がかかるの?」と憤慨する人もいるでしょう。
確かに老後生活の原資となる年金にまで税金を課さなくても……という言い分もわかります。
しかし課税対象となっている以上、給与のように額面と手取り額に差があるのは、仕方がありません。
原則として、年1回(6月)に送られてくる「年金振込通知書」には、「介護保険料額」「後期高齢者医療保険料または国民健康保険料」「所得税額および復興特別所得税額」「個人住民税額」とともに、「年金支払額=1回に支払われる控除前年金額」と「控除後の振込額」が記されています。
これをみれば、年金から何に何円引かれているかが一目瞭然、というわけです。
収入が限られる老後。その生活を支える年金は、たとえ少ない誤差でも致命的。
年金月17万円だと思っていたのに、実際に振り込まれるのは月15.4万円程度。
この金額をベースにプランニングしていかないと、破産は確実。知らなかった……ではすまされないのです。
※これが現実のようですね 今から・・・しっかりと計画をたてて「繰り上げか」「繰り下げか」も検討しましょう。